冥王

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「お、あがったかな」 「……」 「トラオアーが飯用意してくれたから、食べよう。あ、トラオアーはうちのシェフ。…料理する人のことだよ」 それからその冥王は、一つ一つ、丁寧に教えてくれた。 トラオアーも、少女と同じ、以前に生け贄として送られてきたそうだ。 少女にはその行動の意味が、全くわからなかった。 「……そういえば君、名前なんていうの?さすがにずっと君……っていうのもどうかと思うし」 少女に名前なんてなかった。 でも――意味がわからなくてもなにかを教えてくれた。 “人”として扱ってくれた。 ―――こたえなくては、と、思った。 「ぁ、ぅぅ……っ……ぃ……っ!」
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