冥王

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―――そうだった。わたしは、ひとなんかじゃなかった。 ―――しゃべれない。 ―――なまえなんて―― 「無理しなくていいよ。名前がないなら俺がつけるから」 ―――なんでこのひとは、こんなことをいうんだろう。 ―――なんでわたしなんかに、なまえをくれようとするの。 「俺から名前をもらうことで、君はこっちの世界の住人になる。それでもいい?」 少女は静にうなずいた。 冥界の長。 冥界を統べる王。 彼から授かった名は――― 「……Kette(ケッテ)、今日から君はケッテだ。よろしくね、ケッテ」 「……っふ、あ……う、……うう。うわあぁぁあん!!」
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