57人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
「王よ、如何なされました? 」
テオの言葉に、はっと我に返る。
「あ、ううん、何でもないんだ」
「赤と白の国の事、お願いいたします」
「うん・・」
この場でただ一人真実を知るバドのみが、真顔で私達の成り行きを見守っていた。
皆がそれぞれにテオに別れを告げるのを見ながら、私の心は揺れていた。
真の王はテオではなかった。あんなに思いやりのある人なのに。王はまず、国民の事を考えてこそだろうに。駄目な理由が私には全く思いつかなかった。これから行く赤と白の国に、彼以上の能力を持った王がいると言う事だろうか。
考え込みながら馬車に乗り込もうとした私に、バドが近付き、そっと声をかけた。
「マコト、焦ってはいけません。のんびりいきましょう」
「うん・・」
最初のコメントを投稿しよう!