プロローグ

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 窓の外を見ながら、ララが、 「赤の国とはまるきり違いますわね」 と仰天した。確かに、白と赤の国とは対照的だった。島の上には大小様々な流線型の白い建物が立ち並び、周りは透明なパイプがはりめぐらされ、その中を円形の小さな乗り物が何台も滑るように走っていく。道は象牙のように白くぴかぴかに光っていて建物は国の端から端まで占めているようだ。 「この巨大な街一つが国なんだぜ、すごいだろ? 」 アレクセイが苦笑する。 近未来に来たみたい。でも、私が想像するような未来都市と違って、緑色の街路樹と白の建物の色合いがとても綺麗だし、赤の国にはずっと劣るけど、それなりに自然もあるし、自然と都会が調和しいて美しい国だな、と思う。 一段と高い建物の屋上に到着すると、白い床が自動で動き、私達は馬車ごと建物の中に運び込まれた。私は窓から外を眺めた。中はガラス張りの広い空港のようになっていて、あちこちに動く緩やかな曲線の白い床があり、人々がそれに乗って上下、左右に移動していく。白の国の人々は、男女とも皆天使のような裾の長く白い衣装を着ていた。色が白く、白に近い銀髪がとても綺麗。 そして、私は彼らの背にある物に仰天した。  真っ白な羽が背中に生えている!  ララがおかしそうに笑う。 「彼らは有翼人と呼ばれていて、ドラゴン族と同じ、羽を持ち、空を飛ぶ種族ですの。まあ、見た目は失礼ながら全然違いますけれど」  馬車はそのままある小部屋まで通され、私達はそこで馬車を降りた。そこで白の国の女性が一人待っていて、静かに、王の元へとご案内します、と告げ、外に出た。  部屋の外に出ると、また移動する廊下のような物に乗って静かに、滑らかに移動し、白い壁の前まで来て止まった。すると、壁が大きく左へスライドし、日の光がさんさんとふりそそぐ、白くて広い部屋が現れた。立派な社長室みたい。  奥の机には三十代ほどの男性が座っていた。 彼が片手を上げると、周りにいた部下らしき男性や女性が静かに去っていく。  男性が再び片手を上げると、彼の机と私達の間に、広い円形テーブルと椅子が現れた 。  かけられよ、と彼は言い、私達はそれぞれ椅子に座り、彼も私に近い、背もたれの低い椅子に座った。羽があるのも大変だなあ。
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