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皆そろって建物の外へ出た。
「まあ、綺麗」
ララが目を輝かせた。
流線型の美しい建物をバックに、人々が自動回廊で、又は優雅に空を飛んで移動している。飛んでいると本当に天使みたい。
高い建物には、何階か毎に半円形のでっぱりがあって、空を飛んでいる人々は、そこから飛び上がったり着陸したりしている。そういう建物の中には、お店もあるようだ。離着陸が楽でいいなあ。
建物の高い階層や屋上には必ずと言っていいほど半円形のでっぱりがあり、そこはレストランになっている。
私は小声でバドに尋ねた。
「あんな高い場所で怖くないのかな。大体、落ちたら死んじゃうよね!?」
バドはぷっと吹き出す。
「マコト、彼らは落ちても大丈夫ですよ。羽がありますから」
あ、そっか。
私達は勿論飛べないので、自動回廊でぐるりと美術館や学校、博物館、オフィスビル等を見て回った。どれも超高層ビルではあるのだけれど、曲線的だったり芸術的だったりして、普通にイメージする無機質な感じはしない。白で統一され、芸術的な美しい国だ。
それに、私は街やビルにいる女性に注目していた。
オフィス街を飛び回る女性達。オフィスのビルの中を窓から覗いても、男女率は半々のようだ。レストランのコックさんも女性、自動回廊を工事している人々の中にも女性が普通にいる。
私はクレイに話しかけた。
「女性も多く働いているんだね」
「ああ。男性と変わりない。ここは男女平等だから働く女性も育児や家事をする男性も普通の事だ。他の国のものには不思議がるけれどな。・・・救世主殿はどうお思いか」
「最高だよ! 僕の世界でも女性は働いているけどここほどではないよ。それに、何か気を使って働かなきゃいけない、という雰囲気があるんだ。でも、この国は見ていると、何て言うのかな、女性がすごく自然に働いているように見えるんだ。女性である事に差別もなく気負わずに働いていける。それが一番大切な事だと思う。この国は本当に素晴らしいよ! 」
「ほお」
クレイの目が、少し見開かれた。
「救世主殿は進歩的な考えだな」
私はすごく驚いた。
「別に、当たり前の事だよ! 自然じゃないか」
ふっと、クレイの口元がゆるむ。
何か、一瞬微笑まなかった!?
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