プロローグ

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早いもので、あれからもう二ヶ月が立とうとしている。  私は二年生に進級した。一年生のような緊張感はなくなったし、受験勉強はまだ早いし、お気楽な時期だ。  明日からうれしいゴールデンウィークに入る。学校から帰る足取りも軽い。 「マコトも来られれば良かったのにねえ 」  隣を歩く美夕が残念そうな顔をしてこちらを見た。 「うん、ごめん。おばあちゃんちへ行く予定だから・・多分」 「おみやげ買って来るから。遊園地の写真も見せるからね」 「うん、ありがと」  美夕と別れ、家に帰ると、ダッシュで二階に上がった。  息を整え、机の引き出しの置くから、小箱を取り出す。 紙の化粧箱を開けると、中からさらに、純金の小さな箱が現れた。 「時の階段」だ。  セドリックは、これを私に贈ってくれたのだ。 王のみが使える最高の魔法道具。異次元を繋げる扉。 どれだけ、どれだけこの箱を開けたいと日々思ったことだろう。二ヶ月間が本当に長かった。 でも、私は今いる世界にも生きているのだ。ここでの生活もおろそかにしてはいけない。ここもかけがえのない私の世界なのだから。 そうして、もう一つの世界も__。 私は深呼吸をし、早鐘のように鳴る心臓を押さえつけながら、 ゆっくりと、小箱を開けた__。                                    完
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