■第1話 幼馴染への失態

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■第1話 幼馴染への失態

 五月十日月曜日 午後5時 とある病院の一室。 「ごほっごほっ」 「お母さん大丈夫!?」  夕焼けが映える綺麗な町景色とは打って変わって、暗い雰囲気の病室で桜色の長い髪を靡かせた少女は叫ぶ。 「大丈夫よ美奈。たいした病気ではないとお医者様も言っていたから、きっともうすぐ退院出来るわ」 「いつも同じことばかり言って! そういってもうどれだけ入院してると思ってるのよ!」  唯一私に残された家族である母。その母がいなくなってしまったらと考えると、私は泣きながら母に怒鳴ってしまった。 「ごめんね美奈。でもお母さんも退院に向けて頑張っているのは知っているでしょう。それでもお母さんの言葉が信じられない?」 「それは……」  母が頑張って毎日リハビリを行っているのは知っている。しかし、私や母ではどうしようもない壁が存在しているのもまた確かだ。 「分かったわお母さん。私ずっとお母さんが帰ってくるのを待ってるから、絶対また一緒に暮らそうね!」 「うん、約束」 「絶対、絶対だからね!」     
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