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GEGESAGOの入り口をくぐると入店を知らせる効果音が鳴り、レジにいる高砂(たかさご)店長がこちらに気付く。
「ちーっす」
「おはようございます」
いつものように適当に挨拶を行い、レジ裏にあるバックヤードへと入る。俺の適当な挨拶とは裏腹に、美奈はいたって真面目に挨拶を行い、すっかり仕事モードの顔になっていた。
「よう! 能美、桜、二人して今日も仲睦まじい出勤だな!」
俺達の挨拶に対し、店長がいきなりおっさん口調でいやらしいコメントを返してくる。店長はノリが軽く、趣味やノリが合う俺としては楽しいバイト生活を送れていると思う。
「それほどでも~ははは」
「昨夜はお楽しみでしたね、ならぬ放課後もお楽しみでしたねってか~?」
「やっぱ俺等ってそんな風に見えます? はっはっは!」
「…………」
俺は店長のノリに合わせ調子にのってみたのだが、既に仕事モードになっている美奈が俺と店長を軽蔑の眼差しで睨む。仕事に真面目なのは素晴らしいことだが、仕事モードの美奈はあまり冗談が通じない。幼馴染として付き合いの長い俺としては、こうなるとちょっとやりにくい。
「冗談だって美奈、ただの冗談――」
笑ってそう言いながら、バイト用のエプロンを取り出す為に自分のロッカーを開ける。しかしその瞬間――
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