■第1話 幼馴染への失態

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 掴み掛かられながらも店長は悪びれもなく答える。確かに俺のロッカーの中はエプロンや本、フィギュアやゲーム関係のものなどいろんなものが入っている。というより空いている空間のほうが少ないといって過言ではない。 「このロッカーの荒れ具合、お前は仕事を一体なんだと思ってるんだ?」 「ぐぬぬ……」  店長による正論攻撃で、状況はいつの間にか店長のターン。掴みかかったその手も力強さを無くし、簡単に払い除けられてしまった。 「それになんだぁ? それが人からものを借りる態度か、んん?」  確かに、頼んだのは俺だし借りる立場だろうけど! くそぅ、納得がいかない。 「すいませんでした! 貸していただきありがとうございます!」 半ばやけくそになり、謝罪とお礼の言葉を店長へと投げかけた。 「うむ。崇めていいぞ」  ちくしょう、誰が店長なんか崇めるかっていうんだ。ここに来るまでは美奈と仲良くいけてたのに、こんな不運で軽蔑されちまうのかよ。店長はもとより、神様ってやつまでも恨みたくなるぜ…… 「よし、じゃあお前も仕事へ行ってこい」 「へ~い……」  渋々ロッカーの中身を片付け、エプロンを着用しフロアに出る。フロアに出ると、既にレジにいた美奈にはそっぽを向かれ、既に仕事をしている他のスタッフにもからかわれる始末。 「はぁ~。ついてねー」     
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