■第3話 親バレならぬ妹バレ

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■第3話 親バレならぬ妹バレ

 俺と美奈の家は隣同士で、親同士も仲良く昔からよくお互いの家に遊びに行くことも多かった。しかし美奈の父親が数年前交通事故に遭い亡くなって以降、美奈と遊ぶ目的で絡むことはなくなってしまった。  恭子さんも元から体が弱かったこともあって事故を期に体調を崩してしまい、今では入院生活という状態。親の収入がない状態の今、美奈は自分のアルバイトの少ない稼ぎで生活をしている。  今でも美奈と一緒に病院へお見舞いに付き添ったり、共にバイトに行くことなどの付き合いはある。しかし遊ぶことはもちろん、男女関係に発展する機会などありはしない。美奈から遊びに誘ってくることもないし、そんな美奈を俺が遊びに誘っていいのかも分からなくなったからだ。  昔の美奈はすごく明るかったのに、今ではあまり喋らなくなってしまった。こんな時こそ近くにいる俺が何とかしないといけないのに、情けないばかりだ。 「何とかしてやれないかな……それ以前に変態の汚名を返上しないとだな」  今日の失敗を心の中で反省しつつ、玄関の扉を開けて靴を脱ぐ。玄関の扉を開けた音で気付いたのか、この家での唯一の家族の足音がこちらへと向かってくる。 「お兄ちゃんお帰り!」     
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