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「ご飯にする? お風呂が先? それともいっぺん死んでみる?」
満面の黒い笑みで楓はリピートした。どうしよう、最近の世の中にはこんな地獄じみた出迎えが流行っているのだろうか。そんなことよりあの笑みの裏に隠れたどす黒い怒りのオーラがやばい!
「どうしたんだい楓さんや? 今の若い世代ではそういう出迎えでも流行っているのかえ?」
俺は楓のオーラに身震いし、恐る恐る爺のような物言いで穏やかに聞いてみた。
「そんなわけないでしょ。そんなことよりこれ、どういうこと?」
楓がスマートフォンのメッセージアプリ<LUNE>の画面を俺に向ける。
「どれどれ?」
柊が今日バイト先でエッチな本を大量に仕入れていたので、燃やして供養して下さい。
「これ、誰から?」
「美奈ちゃんから」
なるほど、怒っているのはこのメッセージが原因か。美奈が帰っている最中にずっとスマホをいじっていたのは、楓へメッセージを送っていたからだったっていうことか。
ていうかメッセージ内容ひどくね? その燃やして供養する対象は本であって俺ではないと信じたい……というより、俺のじゃなくて店長の本だから燃やすわけにはいかないだろ!
「いや、楓。これには深い理由があってだな」
「深い理由?」
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