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「は? は? はぁーーーー? お、お、お、俺が寝てるだとぉーーーー!」
思わず自分を指差したもののあまりのショックで目の玉は飛び出し、顎が外れそうになる。焦れば焦るほど頭は混乱し、真っ白になってすぐにパニック状態へと陥った。
「な、な、なんで真由美じゃくて……。お、お、俺がそこに寝てるんだ? イヤイヤイヤ、待て待て待て。お、お、俺はこうやって起きてるだろ? じゃあ、アレは誰なんだ?」
もう、自分でも何を言っているのか分からない。
「ま、まさか! 真由美の浮気相手か? 俺に似た間男を俺達のベッドに引っ張り込んだって言うのか? ひょっとしてこれがNTRってヤツか。俺、嫁さんを寝取られたのか」
ガーンっという効果音の岩塊が、次から次へと頭の上に落ちてくる。
そんな俺に子供の向こうで寝ているもう一人の俺が機嫌悪そうに文句を言ってきた。
「……もう、ちょっと! 何よ、朝っぱらからうるさいわね」
普段聞き慣れた自分の声がどこかオカマチックなオネエ言葉に聞こえる。
「静かにしてよ、子供が起きちゃうじゃない」
だが、悪態をつきながらボリボリと頭を掻いてベッドから起き上がったもう一人の自分自身を見ている内にようやく俺は冷静さを取り戻し始めていた。
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