67人が本棚に入れています
本棚に追加
トップバッターにもかかわらずシクヤンはリハーサルにも姿を現し、披露された多少の演奏のサービスを堪能した。
そしていよいよ本番が開始される手筈が整い、YOHさんと並んでそのステージへと目を凝らす。
夏らしい青空の下、シクヤンの立つ舞台、唄う姿は余りにも眩しく、煌めいて見えた。
駆け抜ける海風が曲の持つ色に相まって、爽快感に心臓が高ぶる。
皆が手を上げるノリの良い曲のさなか、ふと見遣った右隣の人も、上方へ手を振り上げている。
この指先から熱が、ステージ上の彼らへ飛んで届くのだろうか、などと過ぎった瞬間、見つめ過ぎたのかYOHさんと視線がかち合う。
その目が穏やかに細められ、わたしは照れくささから唇を噤んでしまった。
最初のコメントを投稿しよう!