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「……すっっ……ごい、良かったぁ~~……」
思わず溜めが入り、拳を握り締めてしまう程に、力の篭ったシンプルな感想を繰り出してしまった。
「いやー、俺も今年一でしたわ。どっかにライブレポ載るかな」
「今年……他のライブも」
疑問を投げ掛けたその時、スマホが震え着信を伝えた。
YOHさんが元の無表情に戻り、冷静に告げる。
「……お友達じゃないっすか?」
「あっ、はい……」
「出て下さい」
促されるがまま画面をスワイプすると、絢の甲高い声が漏れる。
『もしもーし!? 入口着いたんやけど、どこおる』
「じゃ、俺はこれで。この後も楽しんで下さい」
「え、あっ」
『翠~?? 聞こえてるー?』
軽く手を挙げたかと思えば颯爽と足早に去って行く後ろ姿が、どういうわけか印象的で瞼の裏に焼き付いてしまった。
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