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「いやー満足満足」
トリのアーティストのアンコールが始まる前に、そそくさと会場を後にした。
わたしも絢もご満悦で足取りも軽く、懸念していたタクシーにも然程待たずに乗り込めた。
「野外フェス体験、めっちゃ楽しかったー! また来たいなー」
「ほんま!? また行こうや!」
知らないカップルと相乗りのタクシーという状況の中、今朝僅かな時間を共有した彼が脳裏に浮かぶ。
今頃、帰路に着いているだろうか?それとも近所だから、まだ会場に居るとか。
心を巡らせている内に、車は泉大津駅へ到着した。
「ありがとうございましたー」
カップルと料金を折半すると、彼らはすぐさま背を向け歩き出した。
朝のひとときの時間は、ただチケットを譲って貰っただけの相手とのやり取りにしては、濃密であったようだ。
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