煌く時間をもう一度

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あれ以来シクヤンの出演するライブには全て足を運び、意図せず会場にその姿を探していた。 あの後ろ姿、そう……!? 公演前後に目が止まった男性を、一瞬期待を抱き追い掛けたこともあるが、見間違いだった。 自分でも何故こんなにも彼を気に掛けているのか、不思議だった。 数百人規模の会場でも見つけられないのに、秋、冬と時が経つにつれ、シクヤンの人気は思いも寄らず飛躍的に向上した。 “東名阪スプリングツアー決定! 各地最大キャパ” ライブハウスの人波から抜け出し、スタッフから手渡されたフライヤーに堂々掲げられた文字を目に入れると、何故か歓喜よりも落胆が勝ったようだった。 真っ先に思い浮かべたのは、遂に2000人規模の関西最大会場で執り行われる、即ち益々この人ごみの中から見つけ出す困難さは増してしまうということだ。
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