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泉大津駅へ降り立ちシャトルバスを待つ時間も、ずっと彼らの音楽を聴いて過ごしたから、然程苦だとは感じなかった。
「おぉ……」
早朝組で賑わう泉大津フェニックスの入場口へ到着すると、またしても独り言が勝手に漏れ出てしまう程にテンションが上がってしまった。
早速取引相手の人へアプリを通じて連絡を入れ、暫し待機する。
この音楽フェスは有名だけれど、初参戦のわたしにとって目に映るもの全て新鮮で、興味津々で周囲を眺め回す。
フェスのタイトルがでかでかと描かれた看板が掲げられ、皆カメラを構えはしゃいでいる。
わたしも今頃、写真の一枚でも撮っている予定だったのに……絢め。
「“ミドリ”さんですか?」
心でぶつくさ文句を垂れていると、背後から物静かな低い声が響いた。
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