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「はい終わり」
「ありがとな」
服を着ながら、和兎は尋に聞く。
「なあ、尋」
「なあに?」
かすかな逡巡の間を置き、続ける。
「あいつらに変な事されなかったか?」
「変な事って……?」
明け透けな文言にやや戸惑いつつ、和兎はうなずく。
「……まあ、そういうことだ」
和兎は羞恥に頬を赤くして目を反らした。
すると、尋がぎゅっと抱きついてくる。
「お、おい」
「安心して。僕は和兎だけのものだから」
「あ、安心って……」
「何もされてないよ。怖かったけどね」
確かに安心はしたけれど、それをそのまま伝えるのはためらわれた。
(絶対こいつ調子に乗りそうだからな)
「じゃあ、これからどうするか」
掛け時計を見るともう夕方近い。
とんでもないことで折角の休日を台無しにしてしまった。
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