第五章 心の行き着く先(1)

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(尋……?)  和兎は男達の足の間から見える、白いずんぐりとした獣人の姿をはっきりと目の当たりにした。 「和兎を、もう、傷つけ、ないで……っ!」  獣人となった尋は小刻みに身体を戦慄かせながら身体を起こす。 「こいつ、さっきのあのガキと同じ声だぞ?」 「はあ? だって、こいつは……」 「和兎、ごめんね。僕のせいで……僕が和兎を守るよ」 (やめろ、尋。それは俺のセリフだ。俺がお前をこんなことで巻き込んじまったんだよ!)  辛そうな顔をしている尋は巨躯(きょく)をもたげる。  しかしそこへ「死ねよ、化けもん!」と男の一人が丸椅子を尋の背中めがけ叩きつける。  尋は甲高い声を上げて身体を沈めた。 「な、なんだよこいつ、見た目だけか」 「ビビらせやがって!」 「ざけてんじゃねぇよ、化けもんが!」  男たちは椅子を手に、それを続けざまに尋に振り下ろす。  和兎はその光景に拳を握る。 (やめろ、やめろ、)
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