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(尋……?)
和兎は男達の足の間から見える、白いずんぐりとした獣人の姿をはっきりと目の当たりにした。
「和兎を、もう、傷つけ、ないで……っ!」
獣人となった尋は小刻みに身体を戦慄かせながら身体を起こす。
「こいつ、さっきのあのガキと同じ声だぞ?」
「はあ? だって、こいつは……」
「和兎、ごめんね。僕のせいで……僕が和兎を守るよ」
(やめろ、尋。それは俺のセリフだ。俺がお前をこんなことで巻き込んじまったんだよ!)
辛そうな顔をしている尋は巨躯をもたげる。
しかしそこへ「死ねよ、化けもん!」と男の一人が丸椅子を尋の背中めがけ叩きつける。
尋は甲高い声を上げて身体を沈めた。
「な、なんだよこいつ、見た目だけか」
「ビビらせやがって!」
「ざけてんじゃねぇよ、化けもんが!」
男たちは椅子を手に、それを続けざまに尋に振り下ろす。
和兎はその光景に拳を握る。
(やめろ、やめろ、)
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