第五章 心の行き着く先(1)

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「死ね、ばけもん!」 「死ね、死ね!」  男たちが無茶苦茶に尋めがけ椅子を叩きつける。  この世の物とも思えぬほどに美しい綺麗な毛皮に血が(にじ)んでいく。  男たちは何かに取り()かれでもしたようにやめない。 「やめろおおおおおおお……っっっっっ!」  和兎は男の一人に拳を叩きつけた。  虚を突かれたもう一人の顔面めがけハイキックを見舞う。  白い歯が何本か、血飛沫(ちしぶき)と共に巻き上がった。 「てめえええええええ、死ねえええええ!」  一人残された男が椅子を振りかぶって襲う。  和兎は振り下ろされる椅子を腕で受け止めると、奪う。  そしてたたらを踏んだ男の脳天めがけ、座面を振り下ろした。  男が白目を剥いてその場に倒れる。  和兎は椅子を放り投げると、ずたぼろな身体を引きずりながら尋に駆け寄る。
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