第五章 心の行き着く先(2)※ベッドシーンあり

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 和兎(かずと)(ひろ)は一度薬局に寄ってから自宅へ戻る。 「――尋。足下、気をつけろ」 「うん……っ」  とりあえずリビングのソファーに座らせる。 「待ってろ」  袋から取り出したのは消毒液やら包帯、絆創膏(ばんそうこう)……傷に効きそうなものを片っ端から買ったのだ。 「服、脱げるか?」 「やっぱり和兎は優しい」 「……黙ってろ」  和兎は恥ずかしくてついぶっきらぼうに言う。 「はあい」  そんなことは分かっていると言いたげに、尋は弾んだ声で返事をした。  和兎は背中や腕を触診すると、くすぐったそうに尋は身をよじる。 「あれ?」  間の抜けた声が出てしまう。 「どうしたの」 「……傷がない」  獣人だった尋の身体には所々血が(にじ)んでいたから出血していたことは間違いない。  にもかかわらず、今の尋の身体にはどこにも傷跡がなかった。 「んー。治ったのかな」 「治ったって、あんだけ血が出てたのに」 「僕は神様だし」 「……ご都合主義すぎるだろ」  安心したが、釈然としない気持ちは一応ある。
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