第五章 心の行き着く先(2)※ベッドシーンあり

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「和兎っ」  尋に呼びかけられて視線を戻すと、唇を(ふさ)がれた。  柔らかな感触に、抱きしめている和兎の腕にも力がこもる。  尋にいつもリードされてばかりだ。  しかしいつまでも受け身ではさすがに情けない。  和兎は尋の歯列を押しのけるように舌を差し出す。  瞬間、尋の全身に力がこもった。 「んん……和兎」  舌っ足らずな声を漏らした尋が舌を受け容れてくれる。  背中に回されている尋の指が食い込む。  尋の白い肌が紅潮し、目がとろんといやらしく潤んでいた。  和兎は尋の口内を掻き混ぜ、舌を愛おしそうに啜られる。 「ぁあっ……ンンッ……ぁああん……っ」  尋は柳眉をたわめ、首筋まで火照らせた。  和兎は仰向けの格好で尋を押し倒すと、片手でズボンのベルトを外し、下着ごと脱がせる。  尋が濡れた眼差しを向けてくる。 (そんな目で見るなよ)  和兎の鼓動が痛いほど高鳴ってしまう。  尋は甘えるような顔をしながらも、その濡れた双眸には欲情の炎がちらついている。  和兎は身体の芯が(たぎ)るのをはっきりと理解した。  名残惜しくもある尋の唇から離れると、そのまま上着を胸元までたくし上げた上で唇を押しつけた。  白い肌に小さな赤いキス(あと)が鮮やかに浮かび上がる。
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