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「和兎っ」
尋に呼びかけられて視線を戻すと、唇を塞がれた。
柔らかな感触に、抱きしめている和兎の腕にも力がこもる。
尋にいつもリードされてばかりだ。
しかしいつまでも受け身ではさすがに情けない。
和兎は尋の歯列を押しのけるように舌を差し出す。
瞬間、尋の全身に力がこもった。
「んん……和兎」
舌っ足らずな声を漏らした尋が舌を受け容れてくれる。
背中に回されている尋の指が食い込む。
尋の白い肌が紅潮し、目がとろんといやらしく潤んでいた。
和兎は尋の口内を掻き混ぜ、舌を愛おしそうに啜られる。
「ぁあっ……ンンッ……ぁああん……っ」
尋は柳眉をたわめ、首筋まで火照らせた。
和兎は仰向けの格好で尋を押し倒すと、片手でズボンのベルトを外し、下着ごと脱がせる。
尋が濡れた眼差しを向けてくる。
(そんな目で見るなよ)
和兎の鼓動が痛いほど高鳴ってしまう。
尋は甘えるような顔をしながらも、その濡れた双眸には欲情の炎がちらついている。
和兎は身体の芯が滾るのをはっきりと理解した。
名残惜しくもある尋の唇から離れると、そのまま上着を胸元までたくし上げた上で唇を押しつけた。
白い肌に小さな赤いキス痕が鮮やかに浮かび上がる。
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