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「ともだちっていないとそんなに困るんだねえ」
「……寂しい、から」
ぽつっと呟く。
と、頬をぺろっと舐められる。
「泣かないで」
「ごめんなさい……」
目をごしごしと拭く。
「あの」
「なあに」
「あの……犬さんって、神様、ですか」
「僕は犬じゃないよ。狼だよ」
「お、狼……」
動物園で見たことはあるが、あれはもっと灰色でこんなに綺麗な白色はしていなかった。
「まあ君たちが言う所の神様だとは思うね」
本当にいたんだと、妙な心地になる。
神様ということで意識していたのは髭が生えている仙人みたいな人だ。
こんなに砕けていてフレンドリーなのは予想だにしていない。
「触っても良い、ですか?」
その純白に目が惹き付けられ、思わず聞いてしまう。
さっき背に乗るときに触れた際の感触――指の一本一本まで包み込むような柔らかさが忘れられなかったのだ。
狼は不思議そうに小首を傾げつつも頷く。
「良いけど?」
「し、失礼します……」
お腹の部分をおずおずと撫でる。
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