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その後、高速を走る事、1時間。
京都南ICから混み合う京都市内を抜けて着いた素数の家は、瀟洒でこじんまりした分譲マンションだった。
「……なんか、ヤバくない?」
マンションを見上げながら言う七草さんに、
「そうっすね」
としか言えない。
なんて言うか、ゴージャス……。
それ以外の形容詞が思い当たらない。
少々気後れしながら入った、大きな生花が飾られているエントランスホール。
一角には清楚な美人コンシェルジュおねえさんがにこやかに座っている。
ここでも、3人揃って「ほへー」となってしまい、おねえさんに笑われた。
部屋の方はと言うと……。
いやはや、想像以上。
凄すぎて開いた口が塞がらない。
そんな私の横で2人が、
「この白い床、本物の大理石?
俺、マンションでこんな広い玄関見たの、初めてなんだけど」
「素数のヤツ、3足千円以上の靴下は有り得ないとか言ってた癖に、金持ちなの?
この部屋、床材とかもめっちゃ高そうじゃん。
何か、黒光りしてるし」
とか言い合っている。
こんな家に住んでるのに庶民派なの??
首を捻っていると、
「部屋の数は普通だね。水菜ちゃんの部屋、どこ?」
既に靴を脱いで上がり込んでいる七草さんに訊かれた。
「左の手前の部屋って聞いてます」
と答えると、
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