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「凄いな、この家具。全部揃えるのに幾ら掛かったんだろ」
とか言う2人の会話を聞きながら、広い部屋の中を物色していて、思わず「うぎゃ!」と声を上げてしまった。
サイドボードの中に、大量の土偶が収まっている。
よく見ると、サイドボード以外にもそこかしこに赤や黒の顔料で幾何学模様や動物の絵が描かれた素焼きの壺とか、やたら彫りの深い土偶とか。
もしかして、夜な夜な、謎の儀式が執り行われたりして。
って、私、まさかの生贄候補?
そして呪術の時も素数Tシャツ??
って、何でやねん!
変な妄想をしていたのを2人に勘付かれないよう、取り澄ました顔を作り、
「この部屋にもベランダがあるみたいですよ。ちょっと出てみましょうか」
と2人を誘って出てみた。
部屋もハイクラスなら、見える景色もハイクラス。
すぐ近くの下鴨神社が一望だ。
もう溜息しか出ない。
「この部屋、もしかしたら1億以上するんじゃない?
大学の先生ってそんなに金持ってんの??」
不思議そうに呟くにゃんこさんに、
「テレビとか、バンバン出てる有名な教授とかならいざ知らず、素数はそこまでじゃないだろ?
それとも、何か凄い金が定期的に入ってくるのかね? 印税とか特許で」
と七草さんも首をひねる。
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