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確かにこれだけの物件を買うとなると、それ相当の資金かローンをするだけの収入が必要だ。
私の叔父も国立大の教授だけど、そんなにお金が有るようには到底思えない。
もしかしたら素数は物凄いお金持ちのご子息なのかも知れない。
って、思い出した。
実家があると言っていた東灘区は関西屈指の高級住宅街。
……そうか。親に買ってもらったのか。
こんな家をポンと(かどうかは知らないけど)買って貰えるなんて、人生さぞかしイージーモードなんだろうと1人納得していると、にゃんこさんがさんがニヤニヤしながら、
「水菜ちゃん、いっその事、素数の嫁になっちゃえば?」
と冷やかしてきた。
「いやー。ほんとっすね。
素数さんはともかく、こんな家に嫁入りしたいです」
と笑いながら答える私に、
「俺もっ!」
と七草さんが被せてくる。
「何でやねん!」
と軽くツッコミを入れた後は、ちょいちょい小ネタを挟みつつも、粛々と引っ越し作業を続け、全てを終えた頃には外が茜色に染まっていた。
にゃんこさんの工房にミニバンを置いた後、工房のすぐ近くの超庶民的な中華料理屋に向かう。
通りに面した壁は全てガラス張りになっていて、そこに直接「麻婆豆腐680円」とか「餃子350円」といった具合にオススメのメニューと値段が縦書きの赤文字でデカデカと書かれている。
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