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見ているだけでお腹が空く店構え。
「めっちゃ美味しそうなお店ですね」
「そう、美味いんだよ。そして安い。良い所しかない」
にゃんこさんが真面目に答えてくれる。
入り口直ぐの4人掛けのテーブル席に座り、青椒肉絲とか餃子とか麻婆豆腐と共に青島ビールを頼んだ。
暑くて喉が乾いているので、さっぱりしていて飲みやすい青島ビールがピッタリ。
ついガブガブ飲んでしまう。
いい感じにほろ酔いになった頃、
「マスターに紹介したいから、そらのおさかなに行こうよ」
とにゃんこさんが言うので、3人で向かった。
中華料理店を出た頃にはすっかり夜だ。
「ここからどの位、歩くんです?」
と、にゃんこさんに訊くと、
「2分くらい」
と言うので、
「近いですねー」
と相槌を打つと、
「だから、生存報告も兼ねて毎日通ってる」
との事だった。
七草さんの方は会社の帰りに時々寄るのだそうだ。
仕事は企業カウンセラーで、毎日5、6人程度の悩みを延々聞いて、その毒を受け続けているらしい。
「聞く方にもさ、かなり毒が溜まるんだよね。
妻は忙しくてかまってくれないし、ここで喋って毒出ししてるんだー」
そうボヤく七草さんの奥さんは、仕事と育児で手一杯なんだそうだ。
何となく尻に敷かれてそう。
失礼だけど。
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