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そんな2人の日常が少し分かった所で、不意に、にゃんこさんと七草さんが立ち止まった。
目の前にはコンクリート打ちっぱなしのオシャレな一戸建てみたいな建物。
あれ、寄り道??
と思っていたら、どうもここが『そらのおさかな』らしい。
看板も無いから気付かなかった。
腑に落ちない顔をしていたのか、七草さんがニヤニヤしながら、
「静かでいい感じでしょ? ドア、開けてみて」
と勧めてくるので、無機質な黒いドアを何気無しに開けると、真っ暗。
……じゃない! 凄い!!
中には満点の星空が拡がっていた。
もう、プラネタリウム級。
圧倒され、立ち尽くしていると、
「びっくりした? 凄いっしょ??」
と七草さんがハハッと笑う。
よく見ると、ミッドナイトブルーの壁や天井一面に星に見立てたLEDが埋め込まれている。
まるで本物の星空みたい。
星によって微妙に色が違ってたりして、非常に芸が細かい。
返事をするのも忘れて、見入っていると、
「おっ、お2人さん。
いらっしゃい。そちらの女性が噂の水菜ちゃん?」
カウンターの奥でグラスを磨いていたマスターが手を止めてこちらに振り向いた。
「そう。今日から素数の家に住むから、ここにもよく来る事になると思う。
マスター、よろしくね」
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