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佐藤研
と、まあこんな具合に始まった素数との同居生活。
でも、始めて直ぐに分かった事がある。
それは……。
彼が本当に研究の事しか考えていないという事だ。
朝早くから夜遅くまで研究室に篭り(っぱなしかどうかは知らないけど)、家に居る時間はごく僅か。
しかも帰ってくると直ぐにお風呂に入り、その後はソファに座ってずーっと専門書を読んでいる。
もしくは、ノートPC片手に何やら考え事。
そして、時々そのまま寝落ちしている。
最初の内は私も気を使って、自分の部屋だけで過ごしていた。
けど、素数の方がそんな感じで全く頓着しないので、いつの間にか自分の家然とリビングで過ごすようになっている。
そして1ヶ月が過ぎた頃には、お風呂上がりにパジャマのまま、リビングでストレッチとかしちゃってる位に馴染んでしまった。
独身男性(しかもエリート研究者)との同居。
最初はかなり身構えていたし、ドキドキのハプニングとかあるかもと若干の邪な期待もしていたが、実際は平和なものである。
しかも、
「今は然程忙しないし、院試が終わるまでは秘書せぇへんくてもええよ」
と言ってくれたので、家事をちゃちゃっとやった後はひたすら数学と物理の勉強だ。
楽しくて仕方が無い。
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