第3話 マヨネーズとパンの欠けら

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何、読んでるのかな また古典に関する本だろうか それとも洋書? 昨日和倉さんが慌てて返却した本は一冊は日本古典に関する本、もう一冊は洋書の短編集だった。 結城さんが言っていた、趣味で翻訳もしているという話を思い出して返却された本をパラパラと覗いてみたが、私には何が書かれているのか全くわからなかった。 頭が良くて格好良くて、おまけに既婚者 私の入る隙なんてどこにもなさそうだな 小さくため息をついて、私はクラムチャウダーの中に浮かぶあさりを見つめた。 そして今自分が考えたことを思い返してはっとした。 入る隙がないなんて、私は一体何を考えてるんだろう。 そんなことを考える前にまず私なんて相手にされないし、もし相手にされたらそれは不倫だし……そんなシルバーグレーの君は見たくない。 私はあさりをスプーンですくうと、少し大きく口を開けてぱくりと食べた。 勝手に期待しておいて、遊んでいる和倉さんなんてイメージと違うと否定するのは本当に自分勝手でおこがましいが、和倉さんは優しくて笑うと可愛くて紳士的といった私の中のイメージを壊したくなかった。     
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