第3話 マヨネーズとパンの欠けら

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これ以上変なことを考えないように、私は少しハイペースでサーモンサンドを平らげ、クラムチャウダーをお腹に流し込む。 腕時計を見ると12時半を少し過ぎていた。 意外とのんびりしてられないことに気づき、ランチプレートを持って立ち上がり歩いて行くと、同じようににコーヒーを乗せたプレートを持って歩いてくる和倉さんとレジカウンターの前で一緒になってしまった。 「こんにちは。司書さんも休憩終わりですか?」 和倉さんはコーヒーカップをカウンターに戻しながらにこりと微笑んだ。 片手には昨日見たものと違う、ナイロン製のダークブラウンの鞄と見たことのあるグレンチェックのコートを持っていた。 「あ、はい。これから出勤です」 「これから?」 「はい。今日は午後から閉館までの勤務なんです」 私はお皿を片付けながら2つのシフトがあることを説明すると、和倉さんはあぁ、そうなのですね。と納得したように頷いた。 「だから今朝は司書さんの姿が見えなかったのですね」 その言葉を聞いて、私は少しどきりとした。 もしかして、今朝私がいないか探してくれた? そうだとしたらと思うと、私は不謹慎にも嬉しいと思ってしまった。 「和倉さんは、午後も利用されますか?」 「はい。もう少し調べ物をしたいと思います。長く入り浸ってしまってすみません」     
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