第4話 ホームレスの神様①

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わかりました。とスタッフ達が答えると、館長はうーん。と唸って下を向いた後、気持ち切り替えて今日も頑張りましょう! とパンと手を鳴らした。 館長の合図で私達はシフトを確認し、今日担当する場所に移動する。 今日は二十三日の木曜日。 世間は勤労感謝の日で祝日だが、図書館は年末年始以外の祝日は開館している。 図書館にもよるが、月曜が定休日のところが多い。 うちの図書館も月曜が定休、正社員は希望を出さない限り月曜日と他のどこかの平日一日休みの、週休二日ということになっている。 口の端にマヨネーズとパンくずをつけているところを見られてしまった先週の木曜日、私はメインカウンターと視聴覚室のカウンター業務に割り振られていたため、和倉さんとあまり顔を合わせずに済んだ。 視聴覚室では教材用のビデオやDVDの貸し出しや修理がメインなので、一般のお客さんはほとんど来ない。 本当はレファレンスルームに入って和倉さんを眺めていたかったが、あんな恥ずかしいところを見られた後に普通に対応できる自信がなかった私は、ほっとした気持ちで仕事をしたのだった。 今日のシフトは……午前がレファレンスルーム、午後が書架整理か 私は嬉しいような恥ずかしいような気持ちになった。 一週間ぶりだから、多分和倉さんも忘れていると思う。 きっと、気にしているのは私だけ……     
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