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滝川さんが一緒なら心強いな……
私は小さく息を吐くと、開館準備をして席の前で立った。
開館時間になり、入り口の方に目を向ける。
何人かお客さんが入っていた後、他の人よりも背の高い男の人が見えた。
今日の和倉さんはブラウンのチェスターコートに白いマフラーを巻いている。
下は黒のチノパンで帽子はかぶっていない、いつもより少しだけカジュアルな装いだった。
和倉さんはレファレンスルームのゲートに手馴れた様子でカードを入れて入ると、私を見て微笑んだ。
「おはようございます。司書さん」
「おはようございます」
「今日もよろしくお願いします」
和倉さんは丁寧に頭を下げた。
私もつられて頭を下げる。
顔を上げて目が合うと、にこりと笑って和倉さんは奥の方の席に座った。
「なになに? 三村ちゃん、ロマンスグレーの君と仲良いの?」
「え? そんなことないですよ。時々話すぐらいで」
「そうなの?」
三村ちゃんやるねぇ! と言いながら滝川さんが私の隣りの席に座った。
「あ、そういえば嫁さんが今度ごはん行こうって言ってたよ」
「小枝ちゃんが? じゃあ、あとで連絡してみます。」
そうしてみてー。と滝川さんは笑うと、受付業務を始めた。
嫁さんかぁ……
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