第5話 ホームレスの神様②

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気になって目で追っていると、こちらに向かって和倉さんが歩いてきた。 「あ、司書さん。お疲れ様です」 和倉さんが丁寧にお辞儀をする。 「お疲れさまです」 私もゆっくり頭を下げた。 「元気がないようですが、具合でも悪いのですか?」 「いえ、そんなことないですよ」 「今日は寒いですからね。風邪を引かないように気を付けてくださいね」 和倉さんが優しく私に微笑んだ。 「あ、あの。さっき入り口で、何を話されていたんですか?」 「入り口で? あぁ、あの方のことですか?」 和倉さんは入り口を出て外を歩いているホームレスの方を見た。 「はい。何かお話してたように見えたのですが……」 「大したことではないです。ただ、あまりお気になさらずに。と声をかけました」 和倉さんは照れながら笑った。 「さっき男性に怒鳴られていたでしょう? 止めに入ろうと思ったのですが、間に合わなかったので。気休めにしかなりませんが、声をかけさせていただきました」 私、駄目ですね。と言って和倉さんは苦笑いした。 「あの、和倉さんはあの人のこと、どう思いますか?」 「どう、とは?」 「さっきの怒鳴っていた男の人みたいに、臭いとか、出て行ってほしいって思いますか?」 私は和倉さんが何と答えるか知りたかった。     
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