第5話 ホームレスの神様②

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半分知りたくなかったが、それでも知りたい気持ちの方が強くなって尋ねた。 「そうですね……。こんなこと言ったらおかしい人と思われるかも知れませんが、神様、かもしれないなと」 「神様?」 「はい。よく民話や神話などで見すぼらしい格好をした神様が現れて、人間を試したりするでしょう? もしかしたら、あの人も私達を試している神様なのではないかなと、私は思います」 変ですよね、こんな考え。と言いながら和倉さんは少し赤くなる。 「神様……」 私は小さく呟いてみた。 そして照れ笑いする和倉さんを見つめた。 どうしよう ……私、この人のことが好きだ 私も少し赤くなって下を向いた。 和倉さんの左手の薬指には、変わらず銀色の指輪が光っている。
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