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「まだですけど、皆さんが行きたいところがあるなら教えてください。あまり高いお店は無理ですけどね」
館長は苦笑いを浮かべながら結城さんを見た後、出勤していたスタッフに向かって言った。
うちの図書館は毎年年末になると、ささやかな忘年会をしている。
年末年始しか休みが揃わないため、せめて忘年会はやろうという館長の計らいで、ほぼ全員出席の忘年会をするのだ。
「忘年会なんてあるんですか? それっていつやるんですか?」
「あら牧野くん、珍しく食いつくわね」
「場所決まってないなら、僕食べ放題が良いっす!」
「若いねぇ、俺なんて最近全然食えなくなってきたわ」
「滝川さん、確か40ですよね? やっぱり年取ると食えなくなるんですか?」
「なるなる。俺も20代の頃は吐くほど食べて飲んでも全然平気だったけど、今それやったら、次の日悲惨よ」
若いからって調子乗ってると後が怖いぞー。と滝川さんが牧野くんに冗談交じりに脅すと、それを見ていた奥寺さんと新人の折原さんがくすくすと笑った。
滝川さんと牧野くんは結構仲が良い。
二人とも70年代のロックが好きらしく、スタッフルームでは好きな曲やバンドの話などをして静かに盛り上がっていたりする。
牧野くんは今年二十三歳。
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