第6話 オレンジ色の誕生日①

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ペアルックのようにみえる服装で、親子と言われても不思議じゃないと私も思った。 親子かぁ……滝川さんと牧野くんは十七歳差 私と和倉さんも十七歳差 私も、和倉さんと一緒にいたら親子みたいに見えるのかな…… 私は駅前のカフェで紅茶を飲みながらため息をついた。 今日は十二月初めの月曜日。 特に予定はなかったが、クリスマスの暖かく賑やかな雰囲気を味わいたくて、私は家から出ることにした。 しばらくクリスマスソングの流れるアーケードを歩いたり可愛い雑貨屋さんに入ったりしてふらふらしていたが、だんだんと体が冷えてきて今は駅前のカフェで休憩している。 カフェの窓の外には、楽しそうに笑うカップルや家族連れの人達が見える。 イルミネーションの光のせいかもしれないが、キラキラと輝いてどの人もとても幸せそうに見えた。 先週の木曜日、ホームレスの人に対する和倉さんの考えを聞いて、私は和倉さんのことが好きだと自覚した。 自分の中のイメージと現実の和倉さんがぴったりと重なり、そのせいで抑えていた気持ちが一気に溢れ出てしまったのかもしれない。 あの日和倉さんと話した後、私は年甲斐もなく一日中ドキドキしていた。 ホームレスが神様かもしれないなんて、普通に考えてみればあり得ない。     
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