第8話 オレンジ色の誕生日③

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人間の家族は? と聞きたかったが、そこまで聞くほどの仲ではないと思い、私も一緒に食材を入れる手伝いをした。 「これから料理をするので、司書さんはリビングで待っていてもらえますか? 退屈でしたら隣の部屋に書棚があるので、お好きな本を読まれていても良いですよ」 そう言うと、和倉さんは淡いグリーンのエプロンをつけた。何処にでも売っていそうなエプロンなのに、和倉さんが身につけると急に高級なエプロンのように見えた。 「あの、私も手伝います」 「いえいえ、司書さんはお客様ですから。それに食事をするのは、私と司書さんだけですから」 「他の方は?」 「他の方? あぁ、誤解を招くような話をしてしまったかもしれません。誕生日会といっても私とこの子達だけでする予定だったんです。この子達の誕生日も十二月なので」 和倉さんは袋の奥からドッグフードとキャットフード、動物用のおやつを取り出した。少し赤くなりながら台所の棚にそれをしまう和倉さんは可愛かった。 それなら奥さんはどこだろう? と思ったが、それも何となく聞くことが出来なかった。 私は、それじゃあお言葉に甘えて。と言ってリビングテーブルの椅子に座ると、和倉さんは少し待っていてくださいね。と言って料理を始めた。     
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