第9話 オレンジ色の誕生日④

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第9話 オレンジ色の誕生日④

「お待たせしました」と言って和倉さんが料理を運んでくる。 サーモンとホタテ、甘エビのカルパッチョに、ナッツ、オレンジ、チーズとトマトの彩り豊かなサラダ、バターの良い香りがするバゲット。メインの牛肉のローストからは香ばしい匂いが漂う。 和倉さんは細かく刻んだ牛肉をドッグフードに混ぜ、サーモンとホタテを焼いて小さくしたものをキャットフードと混ぜ合わせると、桜とブランのお皿に入れた。 二匹は待っていましたと言わんばかりに贅沢な食事にありつく。 「いつもは普通のペットフードですけど、今日は特別に」 和倉さんは少し言い訳をするように言いながら、グラスにワインを注いだ。 「それでは、人間の私達もいただきましょう」 「はい。お誕生日、おめでとうございます」 「ありがとうございます」 カツンと小さくグラスを合わせてワインを飲む。少し辛口のような気がしたが、後味がすっきりしていて飲みやすい白ワインだった。 サラダを口に運ぶ。酸味のあるフルーツソースがアクセントになっていてとても美味しい。 「お味はいかがですか?」 「すごく美味しいです」 「それは良かった」     
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