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「まぁ、基本怒らないけど、気が効くかは微妙だよ? 家では自分の趣味に没頭してほとんど私に構ってくれないもん」
「そうなの?図書館にいる時はいつも絶妙なタイミングでフォローしてくれたりするけどなぁ」
「それってカエちゃんだからじゃない? タキさん、カエちゃん最近色っぽいとか言ってたし」
「え!」
小枝ちゃん一筋の滝川さんがそんなことを言っているなど微塵も想像がつかず、思わず大きな声を出す。
「カエちゃん、その驚き様……もしかしてタキさんと浮気でもしてるの?」
小枝ちゃんの目がギロリと光る。冗談なのか本気なのかわからない表情に、私はフォークをケーキに刺す動作を止めた。すると小枝ちゃんが肩を震わせて笑い出した。
「カエちゃんって本当からかい甲斐がある。冗談に決まってるじゃない」
あー可笑しい。と言って小枝ちゃんは口元をおさえた。私はほっと胸をなでおろす。
「だって小枝ちゃんの顔、本気っぽかったし」
「まぁね。もし本当に浮気してたら悲しいし」
「してないよ?」
「わかってるって。タキさんも、何でカエちゃんが色っぽくなったのかわかっているみたいだったし」
「え!」
私は驚きすぎて口に運んでいるケーキを危うく落としそうになった。
「ロマンスグレーの君と良い感じなんだよなぁ。ってこの前言ってた」
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