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その時、どこかで電話が鳴った。正面玄関の方からだと気が付いた時には既に斎藤さんが小走りで向かっていて、程なくして電話はおとなしくなった。
それと同時に食堂に残された3人に再び沈黙が訪れる。カレーを食べ終わった長嶺はすくりと立ち上がると、シンクへ自分の食器を下げた。
「……とっつきにくいな」
つい僕がぼそりというと、華が「長嶺くん?」と拾う。
「そう思わない?」
「そうだねぇ……」
華は天真爛漫な性格で友達も多いタイプだけど、一緒に遊んだり同じ時間を過ごす友達となれば同じく明るい子が多い。長嶺は新キャラ現るって感じだろう。
そんな新キャラ長嶺はほどなくして食堂に戻ってきた。
なにか忘れ物でもしたのかと思ったけどそうじゃないらしい。さっきと同じく僕たちの前に座ると、「食べ終わったら中案内するから」と素っ気なく言った。
「……ありがとう。でも斎藤さんが案内してくれるって……」
「急用が出来たらしくて外出たから、俺が代わりにする」
おもむろにスマホを取り出した彼は「名前は?」と聞いてきた。
「榊琥太郎」
「そっちは?」
「美村華、です」
ぽちぽちとスマホをいじる長嶺がなにをしているのかわからない。
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