1067人が本棚に入れています
本棚に追加
/559ページ
発端
「今日で約束の1週間だけど、彼氏と別れられた?」
事務所で雑務をしていた時、背後からノブさんが囁きかける。
他人に聞こえないようにするためだけど、ノブさんの吐息で耳が熱くなる。
「……う、うん」
「やるじゃん、愛梨。じゃあ、仕事終わったら由良公園で待ってて。車回すから」
え、……
振り向こうとした私に、ノブさんがフッと息を吹きかける。
「ひゃぁ」
耳がゾクリとして、思わず変な声が出た。
「平野さん、どうしたの?」
「な、なんでもないです!」
桜子先輩の問いかけに、首をブンブンと横に振る。
「ばぁか」と、ノブさんが意地悪そうに笑った。
最初のコメントを投稿しよう!