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俺は、その寸前にコンビニのなかに駆けこむんだけれどな。
背後に、
「ふもぉぉぉぉ」
という『しっぽなし』の断末魔を聞きながら。ああ、これはこれで楽しいんだ。命がけだが。
コンビニは対爆構造で、耐爆ガラスだ。
明るいし、清潔だし、冷房も効いているし、トイレにはあまり幽霊も出ない。入ってしまえば、どうということはない。
大事なことだから、二度言っておこう。
入ってしまえば、どうということはない!
でも。だがしかし。ここまで努力しても『くんぴのたりうを』が、確実に買えるとは限らない。
売れ筋だから、深夜はとりわけ残っているかどうか分からない。
目の前で、最後のひとつをヤラれたことなんて、数えきれない。
どうかすると、牙をむきだして噛みついてくる夜勤の店員だって、テキトーにあしらわなくっちゃな。
額にスタンプを、
ポン
と押してやると、たいていおとなしくなるんだが。
それに、運よく手に入れてもだ。汁だくの容器に首尾よく入れたとしてもだ。
帰途にも色んな障害が、待ちうけているんだ。孔明の罠、的に?
・・・・・・まっくらな空から、次々、デカい杭が降ってくるだろうし。
横道から出てくる、文字通りの、
『横槍』
にも気をつけなくっちゃあ。
串刺しになったら洒落にならないもんな。めちゃくちゃ痛いし。それはもう、めちゃくちゃ。
坂の上から転がってくる、『時限式回転ノコギリ』の群れも警戒大。
『半自動某王将用語』に、一方的に料理されないとも限らない。
ひょっとすると『ギタイ釦』をうっかり踏んでしまって、突然、俺自身が目の前に現れるかも。スペイン式の決闘なんか挑まれたら、それはもう最悪だ。
それでも俺は、コンビニにいかなくちゃ、なんだ。どんな犠牲を払ってでも、食べたいんだ。
『くんぴのたりうを』が。
なんとしても。どうあっても。
よし。覚悟はできた。
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