1772人が本棚に入れています
本棚に追加
若いながらもてきぱきと明るい対応の青年が出て来た。華奢で長身の、どこか中性的な美形だ。
「ボクは宮田といいます。これから毎回三崎様を担当させていただきますので、どうぞよろしく。
ーーなるほど」
「……はい?」
「いや、神岡様に聞いていた通り。かわいい方ですね。ボクも担当しがいがありますよ」
「……はあ……どうも……」
今まで縁のなかったそんな言葉を急に聞くようになり、なんだかむずむずする。何とも答えようがない。
「じゃ、神岡様指定のカットとスタイリングでいっちゃいますのでねー。最初にシャンプーさせていただきますねー」
「……お願いします……」
されるがままになるのも俺の仕事なのである。……やっぱペットだよなぁ、この感じ。
宮田は慣れた手つきで仕事を進めながら、気さくに話しかける。
「三崎様は、神岡様のお気に入りの後輩さんなんですね」
「は?あ……ど、どうなんですかね」
この前神岡と口裏合わせをした「リストラされて神岡を頼ってきた大学時代の後輩」を必死に思い出しながら、曖昧に答える。
「ボク、神岡様のスタイリングも担当してるんですが……いつも隙がなくてクールな彼が、こんなふうに後輩かわいがるなんて。ちょっと意外でしたよ」
「……へえ……意外ですか……」
最初のコメントを投稿しよう!