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「初めまして、三崎さん。僕はこういうものです」
「神岡工務店……副社長……神岡樹……??」
男が差し出した名刺を見て、俺は瞠目した。
神岡工務店って……あの、一流住宅メーカーの??
「あ、あの……ウチの三崎に、何か落ち度でもございましたか?スタッフのミスは全て店長である私の責任で……!!」
「あ、いいえ、違うんです。実は今日は、三崎さんにある契約の申し込みをしたくてここにお邪魔したんです」
……契約?こんなお偉いさんが……一体何の??
「ええっと……俺と契約って……どういうことでしょう?……話が全く呑み込めないんですが」
「驚かせてしまって申し訳ありません。……ですが、とても大切な用件なので……
もしよろしければ、少し場所を変えて、ちょっとした面接をさせていただければと思うのですが……いかがでしょうか?」
その男は、そう言って初めて微笑んだ。
その瞬間、村上君のさっきの呟きが、初めて俺にも納得できた。
ーー彫りの深い顔立ち。
凛々しく整った眉。まっすぐに通った鼻筋。
くっきりとした二重の、明るい茶色の瞳。
美しい輪郭の艶やかな唇。
高い知性の漂う端正な容姿が、微笑んだ瞬間、少し幼くほころんだ。
柔らかそうな栗色の髪が額にかかるのを、美しい指が何気なくかき上げた。
その指の通った跡から、言い得ぬ色のオーラが匂い立つ。
それは誰もが目を奪われる、魅力に溢れた美しさだった。
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