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「あの……」
「あ、三崎君、バイトは抜けても大丈夫だからね?神岡さんとじっくりお話して来たらいいよ」
店長の余計な親切に、神岡はにっこりと微笑んだ。
「ご理解いただいてありがとうございます、店長。あと、もしできましたら、バイトへ応募の際に三崎君から提出された履歴書を今だけお借りできたら、大変有り難いのですが……」
「あのー……そういうのはまず俺の許可とってからじゃないですか、神岡副社長?」
「いーじゃないか三崎君。一流企業の副社長さんのスカウトなんだし、願ってもない話じゃないか?それにあんな立派な履歴書、額に入れて飾ってもいいくらいだワハハ!」
「そういう問題じゃなくて……」
「三崎君、安心してください。私は履歴書の情報を悪用したりは決してしません。ただ、採用面接にはどうしても必要なのでね。では店長、彼を少しお借りします」
「面接受けるなんてまだ言ってないです!」
「ええ、どうぞどうぞ。幸運を祈るよ、三崎君」
「………」
こうして、さっぱり状況を呑み込めないまま、俺は神岡という美貌の副社長に連行されることになったのだった。
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