第一章 猫と箱を分離してみた

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第一章 猫と箱を分離してみた

「すみません」  見覚えのある制服と知らない女子中学生が僕に話しかける。少しお高いレンズを買う為にアルバイトをしようと思ってスマホの求人広告を見ていたので反応が遅れ、目の前にいる少女にぎょっとする。 「心ちゃんのお兄さんですよね?」  見覚えがあるのは心が少しの期間だけ袖を通していた制服だ。そしてこの少女は心の知り合いか? 「君は?」 「橘莉華(たちばなりか)、心ちゃんのクラスメイトです。委員長なので心ちゃんの事が心配で」  ザ・委員長といういで立ちの橘さん、長い黒髪に制服をキチンと着こなし清楚な女の子だ。 「そうなんだ。ありがとう。あいつはあいつで好きにやってるみたいだよ」 「好きにやってる?」 「日々を愉しんでるんじゃないかな?」 「お昼に外出しているとかですか?」 「どうだろ? あんまし分からないな。もし気になるなら今日ウチ来る?」 「あっ、いえ大丈夫です。心ちゃんにはたまには学校に来るように言ってくださいね。それでは」  まぁ、いきなり関わりのない男に家に来るかと言われてきたら相当な冒険家かビッチだろう。綺麗にお辞儀をして橘さんは中学校へと向かっていった。 (可愛いな)  あんな感じの妹なら良かったのになと思った自分に笑った。そんな事を考えていると学校に到着、ホームルームに行く前に僕を含めて部員三人しかいない技術部に顔を出す。技術部というか工作部だ。 「おはようございます副部長」  分厚い眼鏡をかけた表情の読めない副部長が板にカンナをかけていたが、僕の存在に気づき小さく頷く。もう一人机に脚を乗せてパンツが見えそうな小さな少女。 「よう、指宿。今日も遅いな」  ハイビスカスの髪飾りをつけた少女、この方が我が部の部長。僕が入学する前には色々やらかしていたという数々の伝説を残しているらしい。ちなみに部長は塩ビパイプを加工するのが好きで副部長は木製工作が好きなようです。 「おはようございます部長、パンツ見えそうですよ」 「見せてんだよ。お前たちインドア男子のずりネタくらいにはなってやんよ」  それを聞いた副部長が怒ったのか檜の板で部長を殴ろうとするがそれを見ずに塩ビパイプで受け止める。 「おい永瀬喧嘩うってんのか?」
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