ハチミツまで遠回り
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「……はい、時間切れ」 ほんの小さな声で呟いたのに、喉がひりっと痛んだ。 桜井ほの香と待ち合わせたのは十一時。それからかれこれ一時間待たされて、今待ち合わせ場所の広場の時計が正午を知らせるオルゴールを辺りの繁華街に響かせている。 了太は溜め息を吐きながらほの香へ「もう帰るから」とだけメールして、一時間世話になったベンチから立ち上がりよく晴れた空を見上げた。
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