猫を追いかけて

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「やっと、見てくれた。」 カシャッ 「俺はずっと見てたのに。」 カシャッ 「待ってた、君がここに来るのをーーずっと。」 そこまで言うと彼は漸くファインダーから目を離し、不躾に私をまじまじと見た。 思わず視線を反らしそうになると 「反らさないで。ごめん、ちゃんとこっちを見てくれた君がとても綺麗だったからつい見惚れた。」 にこやかに笑いながらそう言う彼の瞳は猫の様に少しつり上がっていて、その色は透き通る様な薄茶色をしていた。 少し長めの金色したその髪は緩やかな風にふわふわとなびき、そしてそれは陽の光を浴びてより一層、キラキラと輝いていた。 「えっと……。」 この状況になんと言えばいいのやら戸惑っていると彼から話してくれた。 「君、ちっとも俺のこと見てくれないんだもん。それにここにも全く来ないし。だから、こりゃ脈ないなぁって諦めようと思ってた、君のこと。だけど諦めなくて良かったぁ。」 ーーーーやっと会えた。今、やっと、ちゃんと出逢えたって気がするんだ、君と 彼はそう言うとまたファインダーを覗きカシャッと一つ無機質な機械音を響かせた。
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