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運命の出会い
その出会いは必然だった。
運命的だったと言い換えてもいい。
「きみが、炎国の代表かな?」
世界の重鎮が集う交流の場に、その男はしっくり溶け込んでいた。
紺色の軍服に銀髪をまとめて流し、房飾りをつけている。ワイングラスを握る手指は細く、優美に長い。
均整のとれた体はほどよく鍛えられ、姿勢のよさはなにか武術を嗜んでいると窺える。
端正な色男だが、リウがとっさに目を奪われたのはその瞳だった。
玉虫色に輝いて見える――……緑、紅、黄金を帯びるふちは濃紺と、表情の機微にともない変化するうつくしい色だ。
優しげな顔立ちの男なのに、微笑みを浮かべてみせる相手がなぜか蛇のようにリウには見えていた。にっこりと、笑いかけられたそれだけで身が固まってしまい動けなくなったのだ……吐息を奪われ、文字通り呼吸も忘れて、リウはただ目の前に現れた麗人の姿を視界におさめていた。
ゆっくりと、相手の顔が笑みから困惑へ移りゆく。
「迷惑だったかな? 話し相手が欲しかっただけなんだけど……ごめんね」
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